中谷病院 院長 中谷裕司のコラム
咳が止まらない
長く続く咳が、せきぜんそくであるかも?
せきが長引くという症状がある場合、アレルギーを疑ってみる必要があるかもしれません。風邪だと思い込んでいても、せきが長引く、風邪が治らないという場合、アレルギーを持っていたというケースもあります。
せきぜんそくとは、長期間せきが続く病気です。せきぜんそくは、ゼーゼー、ヒューヒューというのではないせきが 3 週間以上続いた場合に疑われます。
せきぜんそくでは、気管支に炎症が生じているためにせきが出ますが、これは気管支ぜんそくと同じです。気管支ぜんそくでは、炎症により気管支が狭くなったため、ゼーゼー、ヒューヒューと鳴りますが、せきぜんそくでは、気管支がぜんそくほど狭くなっていないため、ゼーゼー、ヒューヒューという喘音は鳴りません。
せきぜんそくの治療には気管支の炎症を抑えるため「吸入ステロイド薬」を処方します。
その薬とアレルギーの原因となっている「環境(ほこり、ハウスダスト、ダニ、ペットなど)」の改善を行なっていきます。
重症の場合、気管支がかなり狭くなってしまい、気管支喘息になってしまうことがあります。また気管支が狭くなっている場合、気管支拡張薬を処方することもあります。
風邪だと思い込んでいても、せきが長引く、風邪が治らないという場合、詳しく検査をしてみるとアレルギーを持っていたというケースもありますので、一度、検査をしてみることをおすすめしています。

中谷病院 院長 中谷裕司
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長引くせきに、ご注意!
4週間以上続くせきは、思わぬ病気の場合も
せきがどのように発生するかは完全には解明されていませんが、生体防御機構のひとつだとされています。
空気しか入ることができないはずの気動(気管、気管支、肺)にウイルスや細菌、異物などが入った時や、
たんなどがたまった時に、席が出てそれを外に出すしくみになっています。本来は体に必要な反射なので、むやみに止めていいわけではありません。
しかし、ぜんそくなどのように気動が過度に敏感になった状態では、本来の目的以外に必要以上に出たり、
たんを伴わない空ぜきが続いたりして、会話の障害や不眠、頭痛、吐き気、胸痛などの原因になり、日常生活に支障をきたすことがあります。
1回のせきで2キロカロリー消費するといわれており、1日じゅうせきをすると実に1,000キロカロリーほどになり、体力の消費につながります。
せきの主な原因
■発症→発症から3週間以内
・風邪、インフルエンザなどのウイルスや細菌による感染症。
■遷延性(せんえんせい)期〜慢性期 3〜8週間以上せきが続く
・百日ぜき … 最近は大人も増えている発作性の頑固なせき
・マイコプラズマ感染症 … 発作性の頑固な乾いたせき。たんは伴わない
・肺炎、肺結核、肺がん、間質性肺炎、心不全、肺塞栓症など
・せきぜんそく … ゼイゼイ、ヒューヒューといった喘鳴(ぜいめい)がない乾性咳が、主に夜間や明け方、運動や温度変化で出る。女性に多い。 3 分の
1 が将来ぜんそくになると言われているので注意が必要
・アトピー咳嗽(がいそう) … 咽頭のイガイガとした違和感を伴う乾性咳。中年女性に多い
肺疾患以外でせきだけの場合
・逆流性食道炎 … 胃酸の逆流により口の中が苦く感じ、のどの痛みがある。食後や刺激の強いものを食べた後にせきが出やすい
・高血圧薬(ACE阻害薬)による副作用
・心因性など
肺疾患以外でたんを伴う
・副鼻腔気管支症候群 … 副鼻腔と気管支に炎症が起こり、たんを伴う