中谷病院看護・介護部の取り組み
〜ケアサポートチームの確立〜
チーム医療活動を推進できるコア人材育成を目的に5つのケアサポートチームが2009年に結成されました。
2016年の取り組み
ターミナルサポートチーム
終末期患者のQOLの向上、患者とその家族を含めた総合的な緩和ケアを実践することを目的に立ち上げています。
ひとりの人間としての存在が尊重され、それぞれが納得できる人生が送れるためにはとスタッフが一丸となり、ケアサポートできるよう事例検討会や臨時カンファレンス開催を行っています。
また、「疼痛コントロール」「緩和ケアとは」など部署関係なくスタッフの誰もが参加できる勉強会を開催しています。
褥瘡対策チーム
褥瘡(床ずれ)を改善するのはもちろんのこと、新しく褥瘡を作らないよう、栄養面のサポートや皮膚を清潔に保つ方法、除圧などさまざまな環境面のからも検討を行っています。
患者さんの関節可動域や意識状態、栄養状態、皮膚の環境面を評価しシートに記入しリスクの高い方、実際に褥瘡ができている方を対象に毎週火曜日の褥瘡回診や第3月曜日の褥瘡委員会では他職種と検討をする場を設けています。
平成22年度にはポジショニングに焦点をあてて実践してきました。意識がなく関節拘縮の強い患者さんは不安定感から緊張が高まりリラックスすることができず、体位交換をしてももとの姿勢に戻ってしまうことから、褥瘡(床ずれ)の増悪を招いていると気づきました。
そこで毎水曜日17時よりベッドサイドにおいて、リハビリスタッフと連携し、ポジショニングの検討、勉強会の開催を行なっています。まずは職員の意識付けからと、勉強会、カンファレンスと充実させています。来年の褥瘡(床ずれ)評価が楽しみです。
呼吸サポートチーム
呼吸器疾患患者のQOLの向上を目的に活動しています。人工呼吸器を装着している方の入浴や散歩ができる環境を年間目標に掲げ検討してきました。
マニュアルを作成し、臨床工学技士、リハビリスタッフと連携して、入浴ができるようになりました。またお花見の時期にもストレッチャーに移乗し病院の外へ出掛け、お花見をすることができるようになりました。
患者さんやその家族が笑顔になるその瞬間が嬉しくてまたもう一度連れていってあげたいという思いがこみ上げてきます。
スキルアップのための勉強会開催、他部署との連携を深めるためにカンファレンスも欠かさず行っています。今後も患者さんやご家族が生きる活力となるようなサポートを実践していきたいです。
抑制廃止(認知症)チーム
抑制廃止(認知症)チームは、身体拘束廃止に向けて、他部署との連携を図り、廃止に向けての取り組みを実践的に支援することを目的に活動しています。
毎月第3金曜日15時30分よりカンファレンスを行っています。拘束が人間としての尊厳を最も侵し、時には死期を早めるケースもあると感じています。「縛らなければ安全を確保できない」「やむをえない」ではなく、常にケアの本質とは何かを考えながら拘束をしない日常生活が送れるように対応しています。
相手の立場になり一人ひとりの患者さんが自由な中で適正な治療やケアが行えるようにサポートしています。 入院時には院内身体拘束基準スコアーを基にシートへの記入を行い、1週間ごとに評価しています。
また、月1回には院内身体拘束委員会において各部署のスタッフと事例検討会を行っています。 日常生活用品の様々な発想や工夫の中、昨年(H22年 11月)には厚生労働省が述べる抑制に当たる行為が0となりました。病院スタッフ、新入職者への啓発活動を常に行い抑制0を維持できるように頑張りたいです。
口腔ケアチーム
当院は気管切開患者が半数を占め肺炎や二次的な合併症へと移行しやすい方が多く口腔ケアの重要性が非常に高いと考えます。口腔ケアアセスメントシートの導入や毎金曜日のベッドサイドケアカンファレンス
新入職員への教育の徹底などによりスタッフへの口腔ケアへの考え方や基本方針への理解は深く日常業務の中へ口腔ケアの時間が設けられ定着しています。
今ではスタッフの誰もが「口腔ケアをしないと業務が終わった気がしない」と最低1日1回以上の口腔ケアを欠かしたことがありません。受け持ちナースが忙しくてもフリーナースが気配りし、ケアを行っています。 意識がない患者さんだからこそこちらから気付いてあげられるケアを心がけています。
感染防止以外にも清潔に保つことによる爽快感を存分に味わっていただきたいために私たち口腔ケアチームは努力を惜しまず全力を尽くしています。
■看護部長より
医療チームの中で活躍するリンクナースの育成とチーム活動を通じ、スタッフのやりがいや達成感の充実、専門性を極めるといったスペシャリストの育成を目指し5つのサポートチームを立ち上げました。
チーム編成は強制ではなく自分の得意分野 興味があるところに自発的に選択していただいています。 それぞれが年間目標を立て自主性を持ってチームを運営しています。その結果として看護介護実践報告会において1年に1回年度末にその成果を発表していただくことになっています。
各チームが目的を持って行動しその結果を報告会でまとめて発表することにより達成感を得ることができまた次年度へとつなげていく。このサイクルがスタッフそれぞれのモチベーションを上げ部署内は活性化してきていると実感しています。
専門職のプロとしてスペシャリストとして技術や知識ももちろん極めていかねばならないと思いますが何よりひとりの尊厳を持った人として患者さん家族と向き合いその人の生き方や生活を大事にしたケアを心がけていきたいと思っています。
直近の院内実践報告会と看護研究
・2011年1月17日 西播支部看護協会主催看護研究発表
イーグレ姫路にて「長期人工呼吸器装着患者の家族の思い〜人工呼吸器を装着して5年目の娘を持つ母親への面接調査より〜」
・2011年2月 9日 TQM活動研究発表会 姫路北病院にて
「身も心も美しく消臭(小集)団活動」 中谷温泉(呼吸サポートチーム)
・新人教育
・施設オリエンテーション
・接遇
・電話の取り方
・法人理念「仁を以て先義を成す」と運営方針「生きて往く」
・地域連携と療養型病院の役割
・酸素ボンベ取り扱いについて
・気管切開患者管理について
・麻薬取り扱いについて
・静脈注射勉強会
院内研修
中谷病院看護部では職員のスキルアップを図るため、1年を通してさまざまな職員研修を行なっています。
・身体拘束勉強会 | ・各ケアチームによる患者緩和ケアのアプローチ |
・チームマネジメント | ・リーダー研修 |
・人工呼吸器勉強会 | ・科長研修 |
・褥瘡勉強会 | ・主任研修 |
・人工呼吸器勉強会 | ・移乗動作 |
・実践報告会 | ・清潔ケア勉強会 |
・人工呼吸器管理Ⅱ(医療安全の視点 | ・紙おむつ勉強会 |
・接遇研修 | ・移乗動作勉強会 |
・報告・伝達勉強会 | ・口腔ケア勉強会 |
また、他部署や各委員会主催の勉強会も開催されています。
・新入職者研修 | ・医療被曝勉強会 |
・医薬品安全管理研修会(麻薬管理・輸血など) | ・心電図勉強会 |
・CBC・CRP講習会 | ・感染委員会主催研修会 |
・PEG勉強会 | ・人工呼吸器安全使用研修会(1回/月) |
・褥瘡勉強会 | ・慢性腎臓病関連研修会 |
・吸引勉強会 | ・腰痛予防勉強会 |